2023年9月23日(土)、マンズワイン小諸ワイナリーとのメーカーズディナーをレストラン溪で開催しました。メーカーズディナーの前には、ワイン用ブドウが実際にどのような環境で作られているのか、その土地とワイナリーの歴史にも触れていただくツアーを含めた催しとなりました。今回はツアーにも同行したスタッフの西澤佑奈が、当日の様子を詳しくご紹介します。
歴史や風土に触れるショートツアー
まずはワイナリーのあるエリアの歴史や風土にも触れようと、北国街道の宿場町「海野宿」に立ち寄りました。「海野宿」は江戸時代、中山道と北陸道を結ぶ交通の要として、明治以降は養蚕・蚕種業で栄えた宿場町で、現在は文科省より「重要伝統的建造物郡保存地区」に選定され、今でも当時の様子を残しています。
次に訪れたのは、お昼を兼ねて道の駅「雷電くるみの里」です。「雷電」と聞いても県外の方は馴染みが薄いかもしれませんが、東御市出身で江戸時代後期に活躍した名力士の名前です。敷地内には雷電像や資料館なども併設されています。
海野宿、道の駅の見学とお昼を挟んだ後は小高い丘を抜け、いよいよマンズワイン小諸ワイナリーへと向かいました。
ワイナリーを開いて50年、マンズワイン小諸ワイナリーを訪ねる
マンズワインはキッコーマンを親会社とするワイナリーで、1962年にその前身である「勝沼洋酒株式会社」を設立、同時に勝沼にワイナリーを建設しました。1964年には、キッコーマンの「マン」と聖書に記されたラテン語の「天から授かった食物マナ”mannna”」にちなみ「マンズワイン株式会社」と命名し、社名を変更しました。
創業時に山梨県・勝沼の地で「甲州ぶどう」と出合いワイン作りを開始。ヨーロッパの高級ワインと並ぶ良質なワインを日本のぶどうから醸造すべく、栽培技術と醸造技術を研究し続けてきました。甲州ぶどうとならび古くから日本で栽培されていた当時絶滅寸前の善光寺ぶどうにいち早く着目し、栽培と研究・ワイン作りに取り組んだワイナリーでもあります。そんなマンズワインが信州の東の地域小諸にワイナリーをいち早く開き、現在千曲川沿いに広がる千曲川ワインバレーの先駆けとなり、今年で50周年を迎えました。
「ワインの質はブドウが決める」そうお話するのはマンズワイン小諸ワイナリーの森さんです。今回の小諸ワイナリーのツアーとテイスティングのご案内をしていただきました。
最初にワイナリーの1年の様子を映像で見た後、敷地内にある日本庭園「万酔園」や普段は入ることのできない地下セラー、そして実際にブドウが栽培されている畑などを見学。
見学の後はマンズワイン小諸ワイナリーを代表する赤白合わせて4種類のワインを森さんの解説を交えながらテイスティングを行いました。ワイナリーから小諸の景色を望みながら、ワインに合うお料理や季節やシチュエーションなどのお話と一緒にお楽しみいただきました。
さらに今回は特別に、2023年日本ワインコンクールの欧州品種赤ワイン部門で最高金賞を獲得した「ソラリス ラ・クロワ」が生まれたブドウの畑もご案内いただきました。
山の傾斜に広がるブドウ畑「ソラリス」の名前にふさわしく、陽光をたっぷり浴びて育ち
収穫を迎える時期となっていました。
今年のブドウは成長が早く、すでに収穫が終わっているエリアもありましたが、雨を嫌うぶどうのためにマンズワイン独自の栽培方法である雨よけをかける「レインカット」が施され、手塩に掛けて育てられたブドウの様子を見ることができました。
マンズワイン社長、島崎大さんと共にするメーカーズディナー
マンズワイン小諸ワイナリ―とブドウ畑の見学の後は、鹿教湯温泉のRestaurant溪へ。マンズワイン社長、島崎大さんによるご挨拶からメーカーズディナーがスタートしました。
ペアリングワインは島崎社長にお選びいただき、マンズワイン最高峰のソラリスシリーズを中心に振る舞われました。中にはワインコンクール受賞履歴のあるものや、既に完売してしまい市場で手に入らない希少なワインなどもあり、スパークリング・赤・白あわせて6種類のワインがテーブルに並びました。
10品のお料理と6種類のワインによるディナーは、料理の解説を当レストランの岡崎が、ワインの解説を島崎社長自らが行い、終始和やかな雰囲気で進んでいきました。
料理はもちろんRestaurant溪によるもので、信州の食材・食文化を踏襲した創作フレンチ”信州フレンチ”をご提供いたしました。信州の郷土料理「おやき」をアレンジしたアミューズから始まり、地元農家さんが丹精こめて作ったその日の朝どれ野菜を使ったガルグイ、海の無い信州でお祝いの席で古くから食されていた鯉、そして信州の山で育った鹿肉など、計10品のコースとなりました。
お食事の間には、お客様から島崎社長へワインについて直接ご質問される場面も。島崎社長はご自身がフランスへ渡りワイン作りを学び、現在もマンズワインの造り手として活躍されており、ワインのお話については自然と熱が入ります。
食事と合わせての飲む楽しみ方だけでなく、信州の土・気候・風土から育まれるブドウのお話やそこから生まれるワインのお話など話題は尽きることなく、造り手としてさまざまな角度からワインのお話をされておりました。ソムリエの方とはまた違った方向からのワインのお話にお客様も大変興味深く耳を傾けながら、時折大きく頷く様子や感嘆の上がる場面も見られました。
信州のワインと信州フレンチを楽しむ時間はあっという間に過ぎ、たっぷり4時間の充実した時間となりました。
今回Restaurant溪にとっても初めての試みとなったメーカーズディナーでしたが、ご参加された皆さまがご満足いただけた様子で大変嬉しく思います。誠にありがとうございました。今後もこのような企画を行っていきたいと思います。
信州の魅力ある食文化、そしてワインを皆さまにご紹介できるよう企画をしていきたいと考えております。その時は皆さまどうぞよろしくお願いいたします。