Restaurant溪のカトラリーレストは、古くから長野市松代町の地で採取できる松代柴石を用いています。この柴石を軸にした松代の観光事業を展開しているマツシロックプロジェクトに、その歴史や魅力についてお聞きしました。
-戦国時代から使われてきた柴石
上信越自動車道・長野IC周辺の長野市松代エリアを通ると、山の一角だけ草木が生えていない山肌が見えます。その山が、安山岩・柴石の採石場がある金井山です。その中でも特に柴地区で採石されていたことから“柴石”と呼ばれるようになりました。
柴石の歴史は古く、戦国時代には武田信玄が山本勘助に命じて築城した海津城(後の松代城)の石垣に使用されました。その後、真田信之が地元の産業として石材業を奨励し、江戸時代後期の幸貫のころには立派な産業に成長したとの記述が残されています。
-柴石に関わる、多彩な人々
柴石は淡いブルーがかった石とピンクの石の2色が採れ、切る場所や角度によってさまざまな石紋が現れます。そのため同じ商品であっても一つ一つの表情が異なり、選ぶ楽しみが味わえます。石材としてはやわらかいため加工しやすく、吸水性があるのも特徴です。
そんな柴石を用いて新たな松代町の土産品を開発・提供し、産業・観光を育てようと、平成29年に「マツシロックプロジェクト」を設立。今回お話を伺った長野市商工観光部観光振興課の村井善晃さんは、立ち上げに深く関わった1人です。ほかにも信州松代観光協会や長野石材協働組合、長野商工会議所松代支所、地元の窯元などさまざまな事業者が集い、柴石を用いた土産品を企画・開発、販売してきました。
たとえば石の吸水性に着目して作った「フレグランスロック」は、上部に直径1cmほどの穴を開けたデザインで、そこにアロマオイルを染み込ませて香りを楽しむことができます。それと併せて松代をイメージしたアロマオイル5種も販売。松代らしさを詰め込んだ商品は、お土産はもちろんプレゼントにも喜ばれる一品です。
もう1つ、松代焼の窯元とコラボした「六文皿」は4人の作家が参加。皿の真ん中には真田家の家紋の1つ・六文銭の印を押しています。同じ松城焼でありながらもそれぞれの個性が光り、すべて揃えたくなってしまうはずです。実はこの作家の1人が、村井さんなのです。
「柴石を採石している最中に、砕石粉が出るんです。これを陶芸に活用できないか考えたのが、六文皿のはじまりです。私は善清窯の窯元で、長年陶芸家として活動もしていまして。それで松代焼の窯元の方たちに協力してもらうためにも、まずは自分で試作してみたんです。砕石粉の使用比率も試行錯誤して、結果5%で行くことに。同じ松代焼であっても緑や青、茶、紫と色合いが異なって、どれも魅力ある作品に仕上がりました」
-テーブルに描かれた自然風景を感じて
Restaurant溪で使用している柴石のカトラリーレストは、長方形のシンプルなシルエット。無垢の木のテーブルにセットすると、木と石の質感がうまく調和して、そこに1つの自然が描かれているようにも感じます。自然素材から感じる心地よさと飽きのこないデザインは、大切に使い続けたくなるもの。レストランに訪れた際には、使い心地を体感してください。
マツシロックプロジェクト
Tel 026-224-8316
https://www.matsushirock.com