信州の“おもてなし”Blog

2023.01.20

長和町から世界へ。地域材を活用した カラマツ構造用集成材のパイオニア

森林資源に恵まれた長野県では、人工林の半分以上をカラマツが占めています。Restaurant溪の建物では、長野県産の材木をふんだんに活用しているのもポイントです。齋藤木材工業のオリジナルブランドで、長野県産カラマツの集成材「信州唐松丸」について、さまざまな角度からご紹介します。

-長野県内に豊富にあるカラマツを、どう活用するか

Restaurant溪の建物は、柱や梁、照明、テーブルや椅子にいたるまで、木材をふんだんに使っています。木の色合いや質感、肌触りはどれもやわらかく、温かな印象を与えてくれます。

提供する料理と同様に建物や家具も長野県産にこだわり、カラマツやヒノキ、スギが使われています。なかでも特徴的なのが、上田市に隣接する長和町に本社を構える齋藤木材工業のオリジナルブランド「信州唐松丸®」です。その名の通り、長野県のカラマツの木材を用いた構造用集成材です。

「長野県内に豊富にあるカラマツが、あまり使われていないことに着目したのが始まりです。カラマツは強度や耐久性に優れているものの、ヤニや割れ、狂いなどの欠点もある。人間で例えるならワガママな子です。そのため、建材には使いづらく需要の少ない木でした。しかし欠点さえカバーできれば、優れた強度や耐久性を活かし、豊富な地域資源を有効活用できると5代目社長の齋藤寛氏は考え、その強い思いからカラマツ集成材を開発し実用化しました。人間の一生が100年と言われる現代、カラマツは30年ほどで適正な森林にするため間伐します、その間伐材を集成材に利用することができるので、一生のうちに3回使用できるというメリットがあり、植樹から育成、そして伐って使うをくり返すといった森林サイクルの一端に貢献しています」

こうしていち早く地域の山に目を向けた結果、カラマツの木を貴重な独自資源と認識。活用に向けた技術開発を進めていったのです。

-「信州唐松丸®」で用いるカラマツの魅力

ここで少し、カラマツという木についてお話しましょう。カラマツは日本固有の樹種で、日本にある針葉樹で唯一の落葉樹であることから“落葉松”とも言われています。根付きが良く成長が早く土木用材に需要が見込めていたため、戦後盛んに造林されてきました。長野県では1879年に北佐久郡で造林されるようになり、以降広範囲の地域で植樹された歴史があります。しかしながら現在では土木用材はコンクリートが主力となっており土木用材としてのカラマツの需要は少なくなっています。現在多くは集成材や合板に利用されています。
他地域のカラマツと比べても長野県産のカラマツはゆっくりと成長することから、年輪の幅が狭く、強度が高いのが特徴です。

-オリジナルブランドで、輸入材にない魅力を

齋藤木材工業の創業は1862年、地域の木材を使って木桶や酒樽の製造からスタート。5代目社長の頃に現在の事業へと転換しました。現在では本社、古町工場に隣接するナガト工場と見晴らしの良い山の上にある林材工場、ほか東信地域に営業所や企画室が点在します。

集成材の製造事業に着手したのは1972年と早く、業界では“国内初の国産材を用いた集成材メーカー”として広く知られています。2018年に齋藤健さんが8代目の代表に就任してからは、安価な輸入材と価格競争をするのではなく、地域材に価値を生み出して差別化を図ろうとオリジナルブランド「信州唐松丸®」を展開しています。

-丸太を仕入れ、端材まで無駄なく使う

今回は特別に、集成材を作る工場を見せていただきました。最初に訪れた林材工場では、主に住宅に使用される柱や梁桁の構造用集成材を作っています。

「工場ではカラマツの丸太を保管しています。これらは提携する林業組合や個人の業者から丸太ごと仕入れています」

ここでは最初に丸太を大きな鉛筆削りの様な機械で表面の皮を剥き、それを製材機で挽き板にします。そこからバイオマスボイラーの熱と蒸気で乾燥機内の挽き板の水分を抜き、ヤニを飛ばす人工脱脂乾燥を行います。含水率の検査、強度等級測定で基準に達した挽き板は接着剤を塗布し、積層、圧締接着し、集成材となります。その後、別工場で設計通りにプレカットされていきます。

「加工時にたくさんの端材が出ます。それを廃棄するのではなく、ボイラーの熱源として利用しています。また最近では端材を有効活用して、キャンプ用焚火やストーブ用薪の販売を始めました。脱脂乾燥をしているので煙も少なく、よく燃えるんですよ」

一方ナガト工場では、公共建築や宿泊施設といった、中・大規模建築で使う構造用集成材を作っています。2000年、2018年の法改正によって大規模な建築物でも木材が使えるようになったことが後押しとなり、湾曲構造用集成材や耐火集成材といったさまざまな技術開発に注力するようになりました。実際に湾曲構造用集成材は、工場の建物にも使われています。その美しいフォルムは空間に魅力的なアクセントを生み出していました。
もちろん品質の安心・安全を徹底するべく、試験室ではJAS規格に基づいた試験も行っています。

「齋藤木材工業の経営理念の中に“ちいさな大企業”というフレーズがあります。私たちは会社を大きくすることが第一目標ではなく、豊かな山を後世に残していきたい。そのためにも私たちの技術力を通して、木材の価値を高めていきたいと考えています」と代表の齋藤さん。

のどかな山間にある長和町の企業から生まれた技術の結晶がさまざまな有名建築物に使われているという事実は、まさに“ちいさな大企業”だと言えるのではないでしょうか。

齋藤木材工業株式会社
住所 長野県小県郡長和町古町4294
電話 0268-68-3535(本社事務所)
HP https://saito-mokuzai.co.jp

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